エージェント・レイ‐狂人の島‐
近づいてみて、初めて分かった。

警察官は右手に警棒を持っていた。

強化プラスチック製の、黒い警棒。

長さは30センチほどあり、普段は犯罪者が抵抗した時や、犯人を取り押さえる時などに使用する。

あくまで防衛用の道具だ。

警察官はそれを高々と振り上げ。

「きゃあっ!」

全力で私目掛けて振り下ろす!

びゅんっ!という風切り音。

手加減も躊躇も全くない。

咄嗟に私が回避しなければ、頭を殴られ、或いは即死していたかもしれない。

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