エージェント・レイ‐狂人の島‐
いつ暴徒化したのか。

いつからこの署内にいたのか。

それはわからないが、警察官は、やっと獲物にありついた肉食獣のように、私を執拗に追って来る。

決して走らない。

ヨタヨタと千鳥足のように、しかし追いすがるように。

まだ腰が抜けて立ち上がれず、四つん這いのまま床を這いずる私に向かってくる。

また警棒での殴打!

ブン!と重量を感じさせる素振りの音。

音から察するに、とりあえず打撃で私の動きを止めようとか、威圧して牽制しようとか、そういう感じではない。

急所に当ててやろう。

一撃で絶命、少なくとも昏倒させて動けなくしてやろう。

そういった意思を感じられる音だ。

つまりは、殺害の意思が感じられる。

仮にも警察官の制服を着ている男が、私を殺そうとしている…!

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