エージェント・レイ‐狂人の島‐
暴徒化した人々は、どういう訳か運動能力が若干退化しているようだった。

四つん這いで這いずる私を追いかけるのもやっとといった様子で、ノタノタと私を追跡する。

その癖、警棒を振る力感は並みの人間よりも力強く感じた。

あんな勢いで殴られたら、一発で頭蓋骨を割られるのではないか。

それ程の渾身の振りだった。

…でも、もう少しだ。

あと2メートルもしないうちに、警察署の扉に辿り着く。

外に出られる…!

あと1メートル。

手を伸ばせば扉に届く!

私は片手を扉に伸ばし。

「!!」

突然、その扉が外から押し開けられた事に驚愕した。

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