エージェント・レイ‐狂人の島‐
私の礼の言葉には大した興味も示さず、男性は素早く周囲を確認する。

「9ミリ弾とはいえ、ストッピングパワーを重視した銃弾をチョイスしたんだがな…5発撃ってやっと倒せるとは思わなかった」

「え?あの…」

専門用語過ぎて、私には理解できない。

「…並みの人間なら、1発撃たれれば行動不能になるほどの威力の弾丸だったって事さ…それを奴は5発も食らってようやく倒れた」

彼は床に倒れる警察官を一瞥する。

「コイツは…いや、この島に徘徊している暴徒どもは全員、人間じゃないって事だ」

「……」

それにしては、男性は冷静すぎた。

まるでこの島が、こんな事態になる事を予想していたかのような口振りだ。

それに、こういった異常事態での行動に慣れているように見える。

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