エージェント・レイ‐狂人の島‐
拳銃をしっかりと両手で保持したまま、レイは私の前を歩いた。

その身のこなしは、一般人とは明らかに違う。

そこらにいる警察官と比べても別物だ。

足音を立てず、素早く、無駄のない動き。

最小限の動きで必要な動作を迅速に行う。

一言で言ってしまえば、一切の無駄を排除した、潜入工作員や軍の特殊部隊隊員のような動き。

きっと銃火器や各種武器の取り扱い、格闘術なんかにも精通しているんだろう。

でなければ、こんな人ならざる暴徒達が蠢く悪夢のような島に、単身乗り込んで来られる訳がない。

これが合衆国のエージェント。

エリート中のエリートだった。



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