エージェント・レイ‐狂人の島‐
私の乗っている都会からの定期船には、人はまばらだ。

私とおば様の他に、仕事で島へと渡るスーツ姿の男性と、茶色い革ジャンを着た若い男性の二人の、計四人。

特に観光地という訳でもなく、島とはいえリゾートでもない私の故郷に来る人間など、こんなものだろう。

私もまた、こんな過疎化が進みつつある故郷を憂いつつも、いつまでもノンビリとした雰囲気を保っていて欲しいと願っていた。

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