【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙②〜
序
今となっては、もうずいぶんと昔のこと――どちらの帝が今上であらせられたころかも、定かではありませんが、そのころに、たいそう美しい青年がおりました。
その男、名を、藤原親就(ふじわらのちかなり)と申します。
左近衛府正三位(しょうざんみ)少将――左少将殿(さのしょうしょうどの)、或いは、笛藤殿(ふえのふじどの)などと呼ばれる都人であられたこの方の、恋のお話をいたしましょう。
その男、名を、藤原親就(ふじわらのちかなり)と申します。
左近衛府正三位(しょうざんみ)少将――左少将殿(さのしょうしょうどの)、或いは、笛藤殿(ふえのふじどの)などと呼ばれる都人であられたこの方の、恋のお話をいたしましょう。