【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙②〜
今一度、御簾の裏表に隔てられてしまいますと、最初よりもますます距離遠くお感じになって、一の君の深く物思いにお沈みになるところに、

「ね……一の君、覚えていらっしゃるかしら」

一の姫は、やわらかく撫でるようなお声でお尋ねになります。
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