【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙②〜
「……君の音に……」

君の音に 心添えにし 春の宵
えにしふかきの うらまれしかな

そのように、ささやかれます、一の姫のおよみになりました歌を、一の君がお聞きになったかどうかは、あまりにお声の小さかったので、はっきりはいたしませんが、とにかくも、一の君は、月を見上げて、その優美な笛の音を、奏で続けておられます。
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