【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙②〜
「姉上……」
一の君が一の姫のもとをお訪ねになるのも、くだんの日以来間遠になっておりましたので、一の姫は、この日も訪れがないものとお思いになっておりましたので、その忍ぶお声をお聞きになりましても、はじめは、空音かとお思いになられて、
(いつも君のことを考えてばかりいるので、このように声まで聞こえてくるのですわ……)
と、深く息をおつきになられるのでした。
一の君が一の姫のもとをお訪ねになるのも、くだんの日以来間遠になっておりましたので、一の姫は、この日も訪れがないものとお思いになっておりましたので、その忍ぶお声をお聞きになりましても、はじめは、空音かとお思いになられて、
(いつも君のことを考えてばかりいるので、このように声まで聞こえてくるのですわ……)
と、深く息をおつきになられるのでした。