【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙②〜
月の明かりに照らされて、お二方は、なお、しばしのあいだ、静かに視線ばかりを交わしておられましたが、やがて、一の姫の白く細いお指が、一の君のお手を包むようにおとりになられて、

「あ……姉上……!」

一の君がおとめする暇もあればこそ、お二人のお身体は向き合いのまま、お重なりになりました。
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