そのコップは空(ソラ)だった。


彼の一言一言にこんなに嬉しく思ってしまうのは単純だろうか。



「お前も寝てみろよ。気持ちいいぞー!」



彼はあくびをする。


私はゆっくり寝っ転がってみた。



今まで寒く感じた風が心地よい。



陽も出てきて温かい。


いつの間にか季節は春に近付こうとしている。


学校で寝っ転がるなんて初めて。



これも…黒住くんのおかげ。




「ありがとう…。」



私はポツリと空に向かって言った。



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