そのコップは空(ソラ)だった。
「そんなの…勉強が出来たって…何も意味がないじゃ…ないですか…。」
「はぁ!?」
「私…人と話すのが…苦手なんです…。
上がり症で…すぐに言葉を噛むから…スラスラと喋れないんです…。」
「そんなの慣れりゃ…」
「自分ができるからって…そんなこと言わないでくださいっ!!!!!」
私は顔を手で隠して怒鳴り声を上げる。
「自分が容易に出来たって…人には…過酷に感じるものだって…あるんです…。」
人は“慣れ”だと言う。
じゃあ、この17年間はなんだったのだろう?
17年かけても私は喋ることに慣れていないのだろうか?
そして、人は私を無口とレッテルを張る。