そのコップは空(ソラ)だった。
勉強しかできない大人しくて無口な女の子と。確かにそうだ、私は大人しい。
しかし、無口ではない。
私は言いたいことはたくさんある。
たくさんあるくせに…言葉が上手くと出てこないんだ…。
「じゃあ頑張んなきゃ。」
彼はポツリと言う。
「もう今まで…頑張ってきました…。
生徒会に入ったのも…皆の前で…頑張ってスピーチできるように…」
涙が流れていく。
顔を隠す手の隙間から滲んだ青い空が見える。
「ちがう。俺がってこと。」
隣から思いもしない言葉。
流れる涙が一瞬止まる。