そのコップは空(ソラ)だった。
そこで見たものはとんでもない光景。
さっきの雅治君と一緒にいた女子が
自転車に乗った男子とキスをしていた。
私はビックリして思わず雅治君を見る。
雅治君は無心で彼らを見つめ、それから力のない笑みで私に笑いかける。
「いいんだ。知らないふりをして。」
私は意味が分からず立ち止まっていると
雅治君は私の手を引っ張り、速足でその場を過ぎていく。
女子はこちらを見る気配もなく甘いキスを交わす。