そのコップは空(ソラ)だった。




「今日も黒住は休みか。」


先生はため息をつく。


教室、私の隣の席は


いつもだったら居るはずの黒住君がいない。



あの雨の日から彼の姿を見ることはなかった。




「黒住やばくね?このまんまテスト受けなきゃ留年じゃん。」


一人の男子がケラケラと笑う。


そうだよ、黒住君。



試験は日に日に近付いている。



このまま学校休んでいたら留年しちゃうよ。



いつの間にか私は外に出ていた。


先生に「早退します」と言ったら


先生はニコリと笑って「黒住によろしくな」とだけ言って


私を見送ってくれた。




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