そのコップは空(ソラ)だった。
彼の居場所を先生に聞くのを忘れた。
失敗した…。
学校に戻ろうか。
いや、今さら戻る勇気もない。
早退した自体、私にとっては勇気なのだから。
≪俺んちの近くにすんげぇ寝心地が良い公園があるんだよ
俺、そこの昇り山の桜の木の下で星を見るのが好き♪≫
そういえば…糸電話をしたとき
彼はそんなことを言っていた。
昇り山に桜の木がある公園。
私はそれを見つけるために
夕暮の道を走った。