そのコップは空(ソラ)だった。


「ありがとう。」


「えっ?」


私は寝返りして彼の顔を見た。


暗くて見えないけれど


澄んだ目で夜空を眺めていた。




「なんか…ここまで必死に探してくれると嬉しいや…。」


「えっ…あっ…そんな…」



私はなんて返事していいのか分からなかった。



だけど彼は話し続ける。



「俺さ、女と付き合ってて思ってたんだよね。


こっちがどれだけ相手のことを好きになっても


相手は所詮、俺の容姿しか好きじゃないって。



本気で俺のこと好きでいてくれてないって…。」


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