そのコップは空(ソラ)だった。
「うん…。だから…小さい頃から好きだった。
私、幼稚園に通っていたとき
人と喋るの苦手だから…人と喋るの拒んでたんだ…。
そしたら、先生がね…糸電話しようって。
すんごい嬉しかった…。
それが…私が…頑張って人と話そうとした…きっかけ…。」
ちょっと恥ずかしくなってはにかむと
急に彼のぬくもりを感じた。
「えっ…あっ…!?」
「少しだけ…少しだけ…こうさせて…」
私…黒住君に抱きしめられている。
鼓動は速くなる。
だけど彼の鼓動も速かった。