そのコップは空(ソラ)だった。


すると校長先生の声が聞こえなくなった。

どうやら校長の有難い話は終わったらしい。


「終わったから帰る?」


そういかにも面倒だから帰りたい様子の黒住君に

ちょっと待ったと言わんばかりに司会の先生が


「新しい先生がこの学校に来てくれました」と言った。


"新しい…先生…?"


「はじめまして、久本と申します。」


きりっとした女の人の声だった。


「俺、ああいう奴、苦手~」

黒住君が苦いものを食べたような顔をする。


< 170 / 258 >

この作品をシェア

pagetop