そのコップは空(ソラ)だった。
すると校長先生の声が聞こえなくなった。
どうやら校長の有難い話は終わったらしい。
「終わったから帰る?」
そういかにも面倒だから帰りたい様子の黒住君に
ちょっと待ったと言わんばかりに司会の先生が
「新しい先生がこの学校に来てくれました」と言った。
"新しい…先生…?"
「はじめまして、久本と申します。」
きりっとした女の人の声だった。
「俺、ああいう奴、苦手~」
黒住君が苦いものを食べたような顔をする。