そのコップは空(ソラ)だった。
「そういえば風紀委員さぁーん!」
「なんだよ?」
“風紀委員”と言っても“黒住くん”だけを指名してる。
それを知っていても体が反応して振り向いてしまった。
すると、その男子と目が合う。
「お前ら結局、付き合ってるんでしょー?
不純な男女交際は禁止なのに
風紀委員が破っていいのかなー?」
それは貴方が言えるせりふじゃないでしょ。
言うのだったら、その邪魔なリーゼントをばっさり切りなさいよ。
なんて言えるわけもなく、私は黒住くんの返答を待った。
「俺ら、男女交際はしてるけど、不純な男女交際はしてないぞ」
ほら、こう答えてくれると信じていましたから。
「でーもー!交際してるってことはもしもの事がありますよー?」
「ありません」
私はリーゼントに向かって呟いた。