そのコップは空(ソラ)だった。

HAJIMARI



あれから3年が経つのだ。


時が止まったお前と同い年だよ。



それなのに…あいつの事が昨日のように蘇ってくる。



あの声が耳に…



「グググー」


はぁ…

呆れてため息がついた。


俺の隣の女は授業中にも関わらず

大きないびきをかいて寝ている。


股を広げ

机の上で腕枕をし、

口からはよだれが垂れていて


まったく女らしさと言うか

色っぽさの欠片もない。



数学教師のやすぴーの視線が痛い。


俺は女の腕を乱雑に揺すった。


女はゆっくり目を開け

むくりと体を起こしてけのびをした。


「授業終わったん?」


「お前、やすぴーに目つけられてんぞ。」


「あー?そんな事でウチを起こしたんかよ。」


女はかったるそうに頭をかく。


こげ茶色のストレートの長髪が優雅にゆれる。


長いまつ毛は目の大きさを引き立て


スッピンなのに吹き出物ひとつない顔には


残念な事に寝跡がついていた。




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