そのコップは空(ソラ)だった。


「何を?」


いつの間にか俺は視聴覚室に入っていた。


とにかく人の居ない所に行きたい一心で選んだ場所。



「ほら…大人の営みだよ。


少女マンガのだいたいの学生たちは


ここで事を済ませてんぞ。」



杉浦は声を潜める。


音量下げられるじゃねぇかよ。




「したいのか?」


俺はあえて聞いてみた。


からかっているつもりだけど


わざと真剣な顔で。




「え・・・。」


杉浦の動きが止まる。


思考停止いるのか


考えているのか


顔から読み取れない。



だんだん俺は面白くなって来た。


ちょっと押してみるか。



「俺はいいぜ?


手を繋いだ。


キスもした。


そうきたら…するしかないだろう?」



「え・・・」


杉浦の顔が赤くなる。


反応が可愛い。



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