そのコップは空(ソラ)だった。
俺はまだ狼じゃない。
学校は理性が保てる。
学校じゃたぶん自分から襲わないだろう。
でも、彼女がお望みであれば
いつでも狼に変身できる。
「まだいいや。」
彼女はそう微笑んだ。
「展開が早すぎるだろ?
手を繋いだのも今日だし
そういうのってもぅちょっと経ってからするものだ。
もっとお互いを知ってから。」
「それってどれくらいあと?」
「うーん…付き合って一ヶ月後…とか?」
そうか…。
少女マンガ(普通)だったらそうなのか。
でも、少女マンガ愛読者であったソラを
俺は付き合って一週間で犯してしまった。
雨の日、
いつもの人気のない神社で
俺は狼になった。
彼女はもちろん痛くて泣いた。
こいつも泣き顔も見なきゃいけないんだろうか…。
その時にはもぅ
こいつの事を好きでいるだろうか…。
好きにならないでほしい。
そうじゃなきゃ辛い。
好きな人を男の本能のせいで泣かせるのは
俺は耐えられない。