そのコップは空(ソラ)だった。
私は台の前で一礼をし、カンペを置いて、顔をマイクに近づけた。
「はじめまして、副会長に立候補した須川優子と申します」
スピーチの内容は全て暗記した。
カンペは備えという事で、極力見ずに前を向いて話した。
私のほうを見てる人、隣の人と喋っている人、下を向いている人、さまざまだった。
私のスピーチ、皆に届いているのかな?
不安になりつい早口になってしまうが、持ち直す。
授業でやる暗記とは違ってこれはスピーチだ。
相手に聞きやすくしなければ。