そのコップは空(ソラ)だった。
急かす気持ちを押さえ、一言一句、丁寧に話す。
「―ですが」
よし、折り返し地点。
あともう少し…。
「寄付金では…」
それなのに声が震えてくる。
皆、私の異変に気付いたのか下を向いていた人たちも私に視線を移す。
「良い成果を…出せるよう…頑張りたいです…」
どうしよう…。
いつもの口調に戻っちゃった。
そして、自信を無くしついに止まってしまった。
もう…ダメだ…。
また失敗しちゃった…。
今すぐここから逃げ出したい。
立ちすくむ足を台を抑えた手で支える。