そのコップは空(ソラ)だった。


「いや、さっちゃんは無関係だ。今の俺はもうさっちゃんの生徒ではないからね」


「斉藤くんだけではない。君はもうこの学校とも無関係だ。」


校長先生はぴしゃりと言う。何それ…あんまりじゃない…。


しかし彼は笑って返し「そーだな、俺、不法侵入かも♪」と言ってここを出て行った。


いつもの笑みではない、どこか名残惜しい顔で。


―置いていかないで!あの気持ちがまた蘇る。


私は彼のあとを追い掛けた。




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