そのコップは空(ソラ)だった。


校門に向かう彼の腕を私は強くつかんだ。


「行かないで!」


それは彼にとって良い言葉なのか…。


「ごめん」


私、最後まで黒住くんに迷惑かけているね。


「学校を辞めたのは自分の意志だ。」


彼は私に背を向けて言う。


「それに今日ここに来たのも自分の意志」


だけど…。


「大丈夫」


彼は私の頭を撫で、そのまま自分の胸へ引き寄せた。


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