そのコップは空(ソラ)だった。
「なぁ?最近、お前ら変じゃね?」
新聞部の池田が俺の前の席に座る。
こいつは俺らが付き合い始めてオープンになった頃から
俺が学校で一人の時に話してくるうっとうしい奴。
たぶんこいつがデマを流した本人だろう。
「お前らっつーか、あいつじゃね?」
俺は帰る支度をしながら言う。
「確かに。あいつ、お前じゃなくてある一定の男を連れて
バッティングセンターとかカラオケとか行ってるもんな。」
「……。お前、ストーカーでもしてんのか?」
池田は附に落ちない顔で言う。
「ちげぇよ。そこに居たダチから聞いたんだ。
俺はお前と違って仲間はそこらじゅうに居るからな♪」
そんなこと自慢して俺がお前を羨ましがるとも思ってんのか。
「そんな事より、お前、浮気されてんだぞ?!」
「ああ、それはさっきの話の流れ上で分かったよ。」
「えっ…分かってんなら、
なんでケロッとした顔で居られるんだよ!?」
こいつ、俺が驚いて教室を飛び出すと思っていたらしい。
残念ながら、俺と杉浦は
お前のデマによって成り行きで付き合っていた仲だ。
そこに愛なんかない。
「冷めた奴だなぁ。」
それは元から知ってるだろ。