そのコップは空(ソラ)だった。
俺…弱いんだよ…。
俺は中2の秋。
野球部のエース(ピッチャー)だった。
プレッシャーも誇りも人一倍多く
それが俺自身だった。
だけど、地区予選で俺は肩を壊した。
安静にしときゃ良かったのに
やっぱ"プレッシャーと誇り"のせいで
野球を無理にやり続けた。
そして、ドクターストップがかかった。
「もぅボールは投げるな。」
野球一筋の俺にとっては残酷な言葉だった。
ボールが投げられないピッチャー。
そんな奴いらない。
そんな奴は必要ない。
仲間はピッチャーじゃなくて他のポジションになれと言った。
監督はお前はストラッカーになれと言った。
でも、俺のプライドはそんなこと許さなかった。
俺の中では
ボールが投げられないのなら
野球を辞めるしかなかった。