そのコップは空(ソラ)だった。
すると、のんびりとした渋い曲が流れる。
これってもしや・・・
「北風~南に千十川~♪」
お前、男とカラオケの時に演歌歌うなよー!!
俺ははぁ…とため息をつく。
しかも、意外と上手いし。
わぁーっと男は拍手する。
「やっぱり上手いねぇ。」
「そっそんなことないよ!?」
顔見なくても分かる。
あいつ、男のお世辞をマジで照れてる。
そういや、俺ってあいつのこと
一回も褒めたことなかったなぁ。
男のほうも歌う。
J-POPのクサいラブソング。
でも、そういうのって乙女ちゃんは引っかかるんだろうなぁ。
「キャー!すげぇ!素敵!!」
杉浦は興奮しながら拍手する。
ほら、案の定に引っ掛かった。