そのコップは空(ソラ)だった。
この男、やり手だな。
ぜんぜん硬派じゃねぇじゃんか。
「ねぇ、そういえば、カレシとの事どうなった?」
あっ、きたきた。
俺は自分用の盗聴器に耳を当てる。
「別れたよ。」
こいつ、さらっと言いやがった!!??
「えっ、いいの?」
男の声が少し嬉しそうに聴こえる。
「おう!だってあたし
あんたのこと好きだもん!!」
うわぁー・・・
俺、そんなこと一回も言われたことねぇ。
ごめんなさいね、前のカレシがダメダメすぎて。
「そっか…。じゃあ、改めて…」
しーんっとなる。
うわぁ、告白の場面を聞くのって
なんか歯がゆいなぁ。
「俺と付き合って下さい。」