そのコップは空(ソラ)だった。



「怖かった…。」



空は薄暗くその下にある小さな公園のベンチで座ると


杉浦はぽつりと言った。




「怖いよ…男が怖い…。」



彼女にとって刺激が強すぎた。




「男はみんな…あんなふうになるの?」



「ああ。」



「あんたも・・・?」



「・・・。」



返答に困った。



"そうだ"と言うつもりだったけど


そう言ったらこいつはどっか行ってしまいそうで。






「お前がしたいって言うまで襲わない。」








自分でもびっくりした。


自分の口から出た言葉とは思えない。




いつも本能のままに動いてた俺が


我慢するような言葉を?




< 42 / 258 >

この作品をシェア

pagetop