そのコップは空(ソラ)だった。
「須川!」
「ふぁっ…!はいいぃぃぃ…っっ!!!!」
いきなり黒住くんに呼ばれたので私はつい大きな声で返事をする。
「うらぁっ!パパッと終わらせて俺の睡眠タイムを増やすぞ!」
彼は私の手を握って歩き出す。
「えっ…あっ…えっ…」
遠くにあった彼の後姿が
今こんなに近くにあるなんて…。
廊下で乱闘を起こす男子たち。
通りすがりの人たちは迷惑をしている。
どうしよう…こういうのも…止めたほうがいいって事だよね…?
「おいおい、野球部~。そんな事で指でも折っちまったら笑えねぇぜ?」
黒住くんがズカズカとその中に入っていく。
そっ…そんな急に首を突っ込んだら危ないよ…!
が、しかし彼らはしぶしぶ乱闘をやめる。