そのコップは空(ソラ)だった。
「あんたには関係ないでしょ!」
「それが関係あるんだよ、風紀委員だから。
今度はなに?またプリンとゼリーどっちが美味いかケンカしてんの?」
からかうように笑う黒住くんに二人は怒鳴り声を上げる。
「違うわ!今回は本気なの!私は目玉焼きに醤油をかけるというのにこいつったら塩をかけるって言うの!信じられない!」
「信じられないのはそっちよ!醤油なんかかけたら玉子本来の味がなくなっちゃうでしょ!」
「はぁ!?目玉焼きは醤油をかけてご飯と一緒に食べるのがベストな美味さなんだよ!」
睨み合う二人。
すると、黒住くんがポンッと二人の肩に手を乗せた。
「俺はマヨネーズ派だ。」
「はぁ!?」
冷静な口調で言った黒住くんに“信じられない”コールをする二人。
黒住くんはそんな二人を無視して首だけ私のほうに向けた。
「お前は?」
「へ?」
「お前は目玉焼きに何をかける?」
私は控えめな口調で言った。
「私も…マヨネーズ…です…。」
私の答えににんまり笑って二人を見る。
二人は思考が停止したようにじっと黒住くんを見る。