時 空 堂
俺と篠原は壁に向いていた首を、少しだけ捻り、片目で男達の様子を黙って見ていた。
一人は俺達に拳銃を向けたまま、辺りを見回していた。
もう一人は俺達の車の後ろに、男達の車であろう黒い大きなワゴン車を停車させ、俺たちの車に乗っていたシルバーのアタッシュケースを移動させていた。
俺と篠原は現金を輸送をする仕事をしていて、その仕事中だった。
そして今、輸送車の中に積み込んでいたアタッシュケースに入っている現金が、この男達によって盗まれている。