時 空 堂
少ない全ての荷物を袋に入れ、俺は篠原を待たずに事務所を出た。居心地が悪すぎる。胸の中がムカムカする。長年働いてこんな終わりかたって・・・。
「やっぱりこれは過去なんだな・・・。あの日だ。なにも変わっていない、そのままだ」
そう、これは俺が望んだあの日だ。
荷物を握りしめて、ゆっくりと階段を降りた。
「おーい、黒河。ちょっ、ちょっと待ってくれよ」
「ん?・・・あぁ」
紙袋に荷物をまとめた篠原が急ぐように階段を降り、歩み寄ってきた。顔色が少し戻っているような気がした。