時 空 堂

「聞いてくれ。このまま逃げたってしんどいだけなんだ。警察に怯えて、身を隠しながら生活するのが、どんだけしんどいかわからないのか?」

 俺は声を大にして言った。本当なんだ、分かってくれ。

「黒河落ち着け」

「お前は何を言ってるんだ。なんでそんなことがわかるんだよ」

 二人は俺をなだめようとする。俺は至って冷静だ。事実を述べている。

 うんざりだ。逃げ回る生活も有り余る金も。

「俺は普通の生活がしたかった」
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