時 空 堂

 自作自演というのだろうか。こいつたちは強盗犯役。俺と篠原は襲われる役。

 簡単に手にした金は、俺達の一生を暗くするだけ。

 そんなことを考えていると、足音が聞こえた。小さな明かりが、床を照らした、と同時に悲鳴が上がった。

「ひっ、うわあああああ」

 篠原の声だ。

「篠原、落ち着け」

「わ。えっ、あっ、く、黒河か?」

 懐中電灯を震えさせながら、俺の声の方へ向ける。

「あぁ、俺だ」

 暗闇に慣れてきていた目に、懐中電灯の光は眩しかった。
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