時 空 堂

 懐中電灯を口にくわえ、拳銃を見る。弾はあと一発。

「俺も・・・、いくとするか」

 そう呟き、深呼吸をしたあと、こめかみに銃口を当てる。頭を一発で撃ち抜けば、痛みも意識も一瞬で済むだろう。

「ねぇ、それでいいの?」

 背後から声がして、さっと振り返った。懐中電灯のせいで、夜目がきかない。暗くてはっきり見えないが、月明かりのおかげでうっすらと白髪が見えた。

「あんた、あの店の?」

「えぇ」
< 122 / 426 >

この作品をシェア

pagetop