時 空 堂

 洗面台の蛇口の横を見ると、二本歯ブラシがコップに入れて立っていた。それにはイニシャルが書いてあった。手にとり歯ブラシのイニシャルを見てみる。

 青い歯ブラシにはR、ピンクの歯ブラシにはKと書いてあった。

「K・・・、私のイニシャル」

 私の名前は薫(カオル)、KAORUのK。

 ここは私の家なんだ。

 本当に未来に来たんだ。

「ふふふっ、はははははは」

 思わず笑いが込み上げてくる。

「やった。すごい。楽して大人になれた。ははは」

 あのつまらない学校。毎日毎日繰り返しの日々。でももうおさらばだ。

「青い歯ブラシってことは、もしかして男?」

 自分の手をふと見ると薬指に指輪がはまっていた。銀色の指輪に、真ん中に小さいブルーの石が埋め込まれているものだった。
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