時 空 堂

 何も言葉を発することが出来ず黙る俺を尻目に「寝る」と言って、足音も立てず椅子から飛び降りた。それを見て、俺は机に突っ伏した。

「あぁ、おやすみ」

 突っ伏したまま、掌をひらひらさせた。

「刹那が帰るまでそこにいるのか?」

 奥に行きながら、クロは尋ねてきた。

「あぁ。さっきも言っただろう?」

 そう答えると、クロは何も言わず、奥へと入って行った。

 真っ暗な闇に吸い込まれるように。
< 132 / 426 >

この作品をシェア

pagetop