時 空 堂

 もちろん働くつもりはあった。この不景気の中、就職先が簡単に手に入るなんて、嬉しいことはない。

 でもこの時の俺は「いらない」と言って、この書類を放り投げ、部屋を出たんだ。

「くそっ」

 何がしたいか、何を目指していたか、目標すらわからなくなっていた俺は、乱暴な言葉を吐き捨てながら、携帯と財布を持ち、家を出た。
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