時 空 堂

「ありがとう、せつ」

 咄嗟に口を噤んだ。そこに居たのは、刹那ではなかった。

「刹那は奥で休んでいる。何の用だ、潤」

 クロがいつもより機嫌悪そうに、そこに居た。

「休んでるって、大丈夫なのか?」

「心配ない。すぐに治る」

 クロはふいっと顔を反らし、奥を見る。

「中入ってもいいか?」

「あぁ」
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