時 空 堂

 殺風景な部屋の中は、刹那が居ないだけで、本当に華がなかった。

 カタッ

 何か奥の方から音がし、覗き込む。

「潤」

 クロの怒鳴り声にびっくりして、肩を竦める。

「っ、な、何だよ。びっくりするだろう。そんな大きな声出すなよ」

「奥には近寄るなと言っているはずだ。守れぬなら帰れ」

 クロは低く、力強く、冷たく言い放った。
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