時 空 堂
うん。ここがおかしい。
「未来になんて、行けるはずないじゃん」
私は思わず呟いた。
「ん?薫、何か言った?」
鍋に火をかけながら、龍はこっちに目を向けた。
「ううん。なんでもない。手伝おうか?」
「いいよ。体調悪そうだし、お粥作ってっから、待ってて」
「ありがとう」
えっと、どこまで整理した?
そうだ。この部屋に来たんだ。新聞紙と自分を鏡で見て、私は未来に来たとわかった。そう思いたくない気持ちもあるけど。
来たのはいいが、あの店からの記憶がない。
だからここがどこかも分からないし、龍だともわからなかった。
あれ?私なんで龍って名前分かったんだっけ?
そうか、あの女っ。