時 空 堂

 その両手で俺の両頬を触り、撫でる。ぞくぞくっと嫌悪感が全身を駆け巡る。

「な、なに?」

 手を払いのけることも出来ず、ただただ固まっていた。気持ち悪い。顔が近い。頼むからそれ以上近寄らないでくれ。

「最近お父さんによく似てきたわね。ふふっ。顔をよく見せて。本当理想だわぁ」

 話しかけているのか、独り言なのか分からず、なにも答えなかった。
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