時 空 堂

 なんとなく、システムを理解した。

 空白の記憶が、あとから脳裏に焼き付けられている。

 だから私は結婚したことも、龍のことも思い出した。

 あの女の声を聞いて私は思い出したんだ。

「ややこしいな。このシステム」

「さっきから何ぶつぶつ言ってんの?百面相してるよ」

 また気付かないうちに、口に出していたようだ。

「変な顔してた?」

「悩んだような顔したと思えば、あ、って閃いたような顔してたよ。何?考え事?」

「う、うん」

「そう。倒れたんだから、何も考えず横になってなよ。お粥出来たら起こしてあげる」

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