時 空 堂

┣試験


 そして翌日。昨晩のような不快感もなく、集中して勉強ができた。幸いあいつが邪魔をしてくることはほとんどなく、概ねスムーズだった。

 あとは受験だけ。

「頼むから、今日も目が覚めたら元に戻ってたってだけは勘弁してくれよ」

 ふとつぶやくように独り言を発した。

「それはないわよ」

 返ってくるはずのない返答が背後から飛んできて、勢いよく振り返った。

 そこにはあの店で見た着物の女の人が少し青白い顔で、弱弱しい笑顔で立っていた。
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