時 空 堂

 もう少し、もう少しであの悪夢ともおさらばだ。

 そんなことを考えながら、試験会場に向かった。席につき、もう一度見直しをして、気持ちを落ち着かせた。

 試験が始まってからは、あっという間だった。すらすらと解けてしまう自分に、身震いさえもした。

 簡単じゃん。余裕過ぎる。そんなことを考えながら、見直しを繰り返し、試験を終えた。

「んーっ」

 会場を出て、精一杯背伸びをした。こんなに清清しく終わるのが気持ちいいなんて、考えもしなかった。
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